平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

鞄の中の秘密兵器   2011/03/10

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わたしの鞄には普通の人のそれにはあまり入っていない二つの道具が入っている。一つはレーザーポインター、もう一つは単眼鏡である(あやしい)。

レーザーポインターは、もちろん授業や講座に使うことがほとんどだ。ところが、たとえば、巨大な建築を観に行ったときなどにそれは大活躍する。案内役が「梁のあのラインが・・・」と10メートル以上も離れたところを指しても、「いったいどこのラインをいうのだろう」と説明をうまくつかまえきれないことがある。そういうときにレーザーポインターが大いに役立つのである。「ラインってここのことですか」とレッドポイントで指し示せばいいし、あるいは講師役に本体を預けてしまってもいい。建築に限らず、離れた場所にある何某かを説明・解説には大活躍するのである。

二つ目の秘密兵器は単眼鏡。これは通称ミュージアムスコープといわれている。ドイツのZEISS ツァイス製で
3x12(倍率3倍、対物レンズ12ミリ 類似品は多くあるが、レンズのすみが歪まないし明るいという点でZEISSが最高)、胸のポケットにも入る大きさで長さは6センチを少し欠ける。主に美術館や博物館での鑑賞に使用するもので、約20センチの近距離では5倍のルーペとして、1メートル以上の対象物には3倍のスコープとして活躍する。たとえば陶芸品は釉薬の表情や炎の流れなどが目の前にぐぐぐっと近づいてくるし、場合によっては表面に付いた作家の指紋すら見える。
わたしたちは、展示ケースに設置された作品を目の前にして、ついすべてが見えていると思い込んでしまう。ところがミュージアムスコープを使うと「いかに見えていなかったか」がわかって面白い。肉眼では見えないところまでが見えてワクワクするのだ。
もちろんミュージアムスコープは動物園や水族館、自然観察、観劇でも力を発揮してくれる。


参考サイト
http://www.yodobashi.com/ec/product/100000001000921563/index.html



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