平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

DEAN & DELUCAのトートバッグから見える高級感の作り方   2011/03/09

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数年前からDEAN & DELUCAのトートバッグを持っている女性をよく見かける。思わず「持っている」と書いたが、本来なら「使っている」と書くべきところだ。が、「持っている」と使うところがファッションアイテムたるゆえんである。
ところでDEAN & DELUCAっていったい何?というおじさんのために一言だけ書いておくと、「世界中の美味しい食べ物をあつめた、
食するよろこびをお伝えする食のセレクトショップ」のこと(※公式サイトより)。東京都渋谷区神宮前に日本の本拠地を置く。先に挙げたトートバッグはDEAN & DELUCAがPRと実用を兼ねて販売している日常遣いのアイテムだ。20歳代の女性ばかりではなく、30〜40歳代の「違いのわかる大人の女性」にもファンが多いというのが特徴である。

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実は先日友人のMさんがそのDEAN & DELUCAオリジナルのミネラルウォーター(ペットボトル)を贈ってくれた。
なるほど、そのペットボトルを手に取ってみると、フォルムの美しさが際立っている。大人の女性たちを虜にする理由がこの一本を見ただけでも伝わってくる。シンプルなロゴマークも美しい。印象的なデザインである。

で、数日前ある会に参加したら、そこにいた静岡大学の卒業生Oさんが「わたし今、DEAN & DELUCAに勤めています」と云ったのでびっくりした。まあ、単なる偶然だけれども。


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さて、ここまでは長い前フリである。
DEAN & DELUCAのロゴマークは、Copperplate Gothicカッパー・プレートゴシックという書体を使っている。Copperplate Gothicはフランスの紅茶メーカーの老舗MARIAGE(since1854)がその商品群に多用している書体でもある。調べてみると、この書体は1700年代後半には既に使われていたことがわかった(もっと丁寧に調べればさらに年代は遡るだろう)。Copperplateとは銅版のこと。そういえば!と思って今この文章を打っているMacintosh OSXを確認したら、その書体がインストールされていることがわかった。それほど「一般的な書体」なのだ。同時にそれは長い歴史を生き抜いてきたことを意味する。
いずれにしろCopperplate Gothicは高級感を醸し出す書体としての風格がある。細部を観察すると書体の天地と左右の比率、線の太り具合とそのフォルム、そうして文字の端のヒゲ部分(セリフという)が品格を創りだしていることがわかる。その証拠に、「DEAN & DELUCA」を構成しているセリフを取ってみると(たとえば同じMacintoshに入っているMSゴッシックなどに変換してみると)、さすがのDEAN & DELUCAも、あっという間に平々凡々な印象になってしまうのであった。

ちなみにデルーカは元高校の歴史の先生、ディーンは出版会社のマネージャーであった。
http://www.deandeluca.co.jp/aboutus/thefoundingfathers/

ニューヨークのSOHOの動画も見られる。
http://www.deandeluca.com/Aboutus/Default.aspx?id=190&selItemId=190&parentItemId=14?ref_code=RSS

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