私は生まれなおしている 〜スーザン・ソンタグの言葉をSさんへ 2011/03/06
米国を代表するリベラル派の知識人スーザン・ソンタグ Susan Sontagをご存じですか。
フィリップ・リーフから17歳で激しく求婚されて結婚。その後、出産、離婚、同性愛の幸福と不幸に揺れる姿が赤裸々に綴られた衝撃の日記が『私は生まれなおしている 〜日記とノート 1947-1963』。 2010年の暮れ、河出書房新社から梓に刻まれました。本書は、ソンタグ14歳から30歳までの日記という名の思索集なのです。
本書のタイトル「生まれなおしている」とはどういうことか(原題は「RE BORN」)。当時わずか16歳のソンタグはこう綴ります。
「このノートブックで語りなおした時間のなかで、私は生まれなおしている」と。すなわち、語る、書く、語る、書く、書く、書く、書く、書く・・・この行為を通してソンタグは、「わたしはもう一度、自分で生まれなおす」ことを試みているのです。書くという行為を通して、ソンタグは常に生まれなおしているのです。いや、逆でしょう。常に、刻一刻と生まれなおすためにソンタグは書いて、書いて、書き続けているのです。まさに「書くという行為」はソンタグにとって「理想の自己への再構築の儀式」なのです。
そうしてもう一つ重要なのは、この書はわたしたちによって読まれることで、彼女は「理想の自己への再構築」を遂げるのです。そもそも「書かれたものを読む」とは「そういうことに付き合う」ことでもあるのです。
本日、某医大の学生Sさんから封書を頂いた。この文章はそのSさんへの小さなメッセージを兼ねるものです。Sさんが「書く」ことを続けるのは、やはりソンタグ同様、理想の自己への再構築そのものなのです。
Sさん、ソンタグはこうも云うのです。 Do something , Do something , Do something.
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