平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

雷門で紙選び   2011/02/27

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二月も終わり、開園当初の梅360本に思いを馳せ、紅白の残梅を眺める。
文化・文政期(1804~1830年)に造られた庭園・向島百花園(墨田区東向島三丁目)。
骨董商・佐原鞠塢(さはらきくう)が多賀屋敷と呼ばれていた今の土地を入手して開園。いっしょに園をつくり上げた文人墨客には、園の命名者である酒井抱一や門額を書いた大田南畝らがいた。一時は洪水等で廃園に追い込まれそうになったものの東京都に譲渡され管理された(1938年だから正確には東京市 開園は翌1939年)。

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浅草 雷門 横にある黒田屋さん(創業安政三年)で授業のプロジェクトで使う和紙を選ぶ。あれもいいし、これもいい。あっという間の一時間。

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実はわたし、大学卒業して半年間は、浅草に住んでおりました。
胸には「極真会」と紺色で刺繍された空手着を着て隅田川沿いをマラソン。窓を開ければ目の前に夜空をこがす隅田川の大花火。桜の季節は隅田川沿いを散歩。あぁ 懐かしいな〜。

桜といえばとにかく江戸の山桜には品があります。思いつくままに挙げてみますと、品川の御殿山、王子の飛鳥山、向島の大川堤といったところでしょうか。いやいや、ソメイヨシノでも隅田川沿いの満開の桜がとにかくすばらしいとおっしゃる方も多いでしょう。
昔から、隅田川沿いの花見はよその花見とはちょっと趣が違っていて、屋形舟から眺めるというのが酔狂の定石でした。

柳橋周辺には舟宿や料亭が甍を争っていました。いまでもいろいろな舟宿が軒を連ねていますが、わたしはなんといっても、神田川が隅田川に注ぎ込む際にある小松屋という舟宿の御座舟が大のお気に入りです。朱塗りの舟体が、桜の色と相まって、水面に映り込む舟影がとてもかわいらしく見えるのです。それはまるで花筏のようです。

さて、舟に乗り込むと致しましょう。きっと佃煮のいい匂いがしてくるでしょう。都会の喧噪が少し耳障りなら、障子を引けばいいのですが、何といっても外は満開の桜。昔の水戸邸や安田邸の桜を、お猪口を片手に眺めます。水鳥が頂けない方でも、桜餅を口に運びながら、絢爛豪華な舟遊びに興じるのもいいでしょう。そうして時間があれば、向島で舟をもやいます。間もなく、桜の季節ですね。
舟遊びといえば、夏は隅田川の花火見物、秋はお月見、冬は雪見酒といったところでしょうか。いろいろ懐かしく想い出します。

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