お嫁に行ったアランセーター 2010/12/29
アイルランドの西岸にあるアラン諸島。そこには独特の伝統文化・産業がある。そのひとつが家紋を編んでつくるアランセーターだ。誰もが認める品質は、まさに世界一。その歴史は6世紀まで遡るといわれている。
漁に出た男どもが、不幸にも水死した場合など、その紋によってどこそこの家の男衆だ、と一目で判断ができるというものだ。こういうと何か悲しい物語を抱えたセーターにも聞こえるかもしれないが、紋を編み込みながら、漁に出る男の無事を祈る女たちの愛が垣間みえ、ほのぼのとしてくるし、アランセーターには単なる商品を超えた存在感を感じる。
わたしがアランセーターを手に入れたのは、約20年前。編んだ女性の名は「Emmanuelle」、セーターについたタグの手書きサインがそう教えた。
笑って欲しい。実はわたし、大枚はたいて買ったこのアランセーターがもったいないという理由で、袖も通さずずっと箱にしまい続けてきた。毎年春の入り口に防虫剤だけ入れ替えながら、なんと20年間も。
そうして我がアランセーターは、いよいよある方にもらわれて行くこととなった。きちんと着てくれる人が見つかったのだ。うれしいなあ。
はい、けっして「断捨離」じゃあないですよ。
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