平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「かんらん石」の記憶  2010/11/17

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地球から小惑星イトカワまでの距離は約3億キロメートル。様々なドラマをつくって戻ってきた無人宇宙探査船「はやぶさ」が持ち帰った微粒子は約1500片。その大きさは、たかだか0.001~0.01ミリメートルなんだそうだ。微粒子の成分は主に「かんらん石」と「輝石」で、その中に含まれているFeとMgの比率は地球に存在するそれと大きく異なっているとのこと。この芥子粒のいったい何がすごいのかは、既に散々ニュースで流れているが、「46億年前に太陽系が誕生した起源を究明するのに役立つ貴重な資料」なのである。

このニュースを机に向かいながらラジオで聴いたとき、どうせみんな、はやぶさのことなんか忘れていたくせにとおもいながら、目の前の小瓶に入れてある「かんらん石」を紙の上に広げ、ライト付きの拡大鏡でじっくりと眺めてみることにした。そのときなぜか、ショパンとキューブリックと古田織部の茶碗を同時に思い浮かべた。

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