活け花作家 中川幸夫の「花楽」 2010/11/17
とめ はね はらい ものすごい速度とリズムで筆を運ばれる中川幸夫先生
大学の授業「情報意匠論」で「庭の見立て」についてたっぷりと話をした。最近、庭についてまとめて話したのは久しぶりだ。
その中で作庭家の重森三玲について少しだけふれながら(重森三玲なくして、今の「日本の庭」はありえません!)、わたしは前衛活け花作家の中川幸夫という人を思い浮かべていた。中川は重森によって見いだされた人物だ。
中川の膨大な作品群の中でも、わたしは特に、花の汁を抽出して描く「花楽」というシリーズが好きだ。
花の汁で描くため、やがてそれは紙面から跡形もなく消えていく。だが、かつてここにはそういう「花」が咲いていた、と眺める行為そのものが、まさに中川幸夫の活け花なのである。もっと云うなら、「流派」に属さず「流派」を持たない中川幸夫という存在そものが、瞬間に生きる生花なのだ。
わたしはかつて、あるギャラリーで中川先生の作品展をお手伝いし、仕事も忘れて会期中ずっと「花楽」を眺めて過ごす時間を得た。それは何とも至福の時であった。
中川先生、いつまでもお元気でご活躍ください。
中川先生から頂いた「痕跡」。
とにかく中川幸夫のすばらしさと偉大さに気づいていない人が多すぎる。
何がどのぐらいすごいかは、作品集「花人 中川幸夫の写真・ガラス・書―いのちのかたち 」求龍堂 (2007/03)や森山明子 さんの「まっしぐらの花―中川幸夫」美術出版社 (2005/07)を読まれるといい。
中川先生は、舞踏家・大野一雄先生とも昵懇の仲で、「大野一雄 舞踏」の書も担当されている( ↑ 写真の背景に写っているポスターの書)。アーティストの日比野克彦さんも応援に駆けつけた。
ちなみに、日比野さんとは、2001〜2004年の4年間 財団法人静岡県文化財団 静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップ主催 若手クリエーターを育てる『SING』というイベントの審査員をご一緒させて頂いた。このイベントも、また復活して欲しい。
この場にアップした内容は、その後、ペンを入れる場合が多々あります。
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