安冨万里子さんのレイヤー 2010/09/24
・先頃、デジタルカメラを買い換えました。
・きょう、公園沿いの道を歩いていたら、鳥に頭から糞をかけられてしまいました。
きょうは数ヶ月前に知り合った版画家・安冨万里子さんの個展にお邪魔しました。
安冨さんは笑顔で迎えてくれたのですが、その笑顔にわたし、おめでとうございます、の一言も申し上げず、「そこで鳥に糞をかけられてしまいました」と云ってしまいました。なんとも気の利かない第一声でしょう。情けない。改めて、おめでとうございます。
安冨さんは、文鳥(でしたっけ?漱石にそんなタイトルがありましたね。ジュウシマツ? それともインコ? 汗)をたくさん飼っているらしいのです。ですから、わたしが唐突に「そこで鳥に糞をかけられてしまいました」と訳のわからぬことを申し上げても、すぐに「それはウンが付いているということですね(笑)」と切り返してくれました。なんと、これってラッキーなことだったんですね(ちょっと苦手なプラス思考・笑)。
安冨さんの作品を拝見するのは、実は今回が初めてです。
「(風景を)ゆっくりと重ねていくんです」と安冨さん。
ある景色の前に立つ。それが、版画のモチーフとなるまでに数年かかるんだそうです。
「いくつもの透明なものを重ねていくんです」とも表現されていました。透明なもの、なんですね。
景気とは今でこそ経済の用語となってしまいましたが、本来は景色から立ち上る気のこと。何年にもわたる作業の中でふうっと消えそうになる記憶を手繰り寄せながら、気を丁寧に彫り込み、摺りあげているのでしょう。気の遠くなるような作業です。それが今回の個展『LAYER』に結実しているのです。安冨さんの手法で出来上がる版画とは、版木を重ねていくまさにレイヤー・アートなのです。なるほど、タイトルにはそういった意味が込められていたんですね。
会場には、とても気持ちの良い風景が広がっています。心落ち着く空気です。うまく云えませんが、独特の色合いなのです。
展示してある道具類だけでも写真に撮らせてもらってもいいですか、と云いながら、買ったばかりのデジタルカメラを取り出すと、安冨さん、いきなり「ありがとうございます」と。それがなんだか、ただのありがとうとは違う密度を持ったありがとうなのです。キョトンとしてるわたしの目の前に同じデザインのカメラを並べながら、「このSONYのデジタルカメラ、わたしのものすごーくよく知っている人がデザインしているんです!(笑)」(おー、まさかご兄弟?!) 同じカメラを持っていたというだけなら、よくありそうな話なんですけどね。驚き。
で、安冨さんが取りだしたお揃いのデジタルカメラで、記念のツーショットをパチリ。併せてカメラのツーショットも撮ってみました。
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