プラネタリウム解説員の声 2007/07/30
ここ数日、車で移動する際に「NHKラジオ夏休みこども科学相談」を聴いている。もう何年来のリスナーだろうか。これがわたしにとって、夏の風物詩のひとつになっている。流れてくる解説員の回答に、自分ならこう答えるのにな〜と理学部化学科出身のわたしもひとりの解説員になりきって参加する。
だが最近、この番組にちょっと不満がある。というのも解説員は時折、解説のあとに「むずかしいから、もう少し経ったら解るようになるよ〜」といった逃げ口上を云うのである。この台詞がいぜんよりも間違いなく増えている。たしかに最先端の科学を子どもにわかりやすく解説するのは並大抵なことではない。それはわかる。だが、そこを乗り越えて言葉を尽くすのがこの番組の意図ではないか。質問をした子どもも電話の向こうでなんだか煮え切らないようであるが、アナウンサーのやや強引ともおもえる導き「○○くん、解った〜?!お電話ありがとう〜」 ガチャン によってお利口さんに電話を切る。「そんな説明じゃ、ぜんぜんわかりませ〜ん」という子がなぜひとりもいないのか不思議で仕方がない。今度、子ども電話相談にこのことを相談してみたい。
しかし、しかし、しかしであ〜る、そんな中でひとりだけ絶品の解説能力と声をもった解説員がいる。天文担当の永田美絵さんだ。まず、有無を云わせず声が良い。質問者の存在全体を包み込んでしまうような声の質に唸る。というのも中には、「こんな質問してはずかしくないのかなあ」と悩みながら、それでも勇気を奮い立たせ電話をしている子どももいるはずだ。彼女はだれに対しても常に「疑問を持ったキミは最高の科学者だ」という態度をくずさない。それが良く伝わってくる。
わたしは、テレビコマーシャルをつくる現場に数百回と立ち会い、ナレーターの声も数え切れないほど聴いてきたが、彼女の声はぴかいちだ(もちろんアナさんやナレーターとは話す目的が違うので一概に比較はできないのはわかる)。それから、解説がとても丁寧で、短い回答にも段取りがある。構成力がすばらしい。むずかしいことをあれだけやさしく語るその腕前は相当な実力者とみた。ここ数年来のファンである。いつか正式にお仕事をお願いしたいと思っている。
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