平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

働く   2010/08/17

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先日、元履修生たちが、平野を囲む会をやってくれるというので、ビクビクしながら出かけて行く(まさか、袋叩き? しかし、いつまでも気にかけてもらえて、本当にありがたいことである)。

話題の中心は、「何だからよくわからないからこそ、いつまでもいっしょにいたい」という話と、「働く場所に最初から天国なんかない」について。前者はここに綴っている時間がないので、「働く」について書いておく。
といっても、「働く」についてわたしの考え方は一貫している。先日ラジオでもコメントしたし、以前、ここ脳内探訪にも書いておいた。その一部を再録しておく。

「そもそも、働くということにおいて、最初から理想の仕事(職場)というものがあるのだろうか。わたしの観察では、どうも多くの学生は最初から自分の理想とする職場というものがこの世のどこかに存在していて、それを何とか探し出そうと一所懸命もがいているようにみえる。この場合の理想の職場というのは、(職場の方が)「わたしという才能」「わたしという価値」を認め、じょうずに活かしてくれることだ。

だが現実は違う。なぜなら、自分で自分の居場所をきちんと見つけていくことが、自分を活かす唯一の方法だからである。それはある意味、業種選びで達成されるものではない。自分で作り出した理想の環境こそが、理想の職場となる。ただそれだけのことである。決して最初から理想の職場という環境がその辺に横たわっていて、それをじょうずに見つけ出すことが就活ではない」(※ここまでが以前「脳内探訪」に書いたこと)。
万が一、そんな天国を見つける「就活テクニック」をまことしやかに教えるような社会人がいたら、まず疑うべきだ。


それから昨今、「わたしに(この会社、組織は)合わないから、もうやめる」という自己判断の敷居なるものが、明らかに低くなっている。それは若者に限らない。合わないと勝手に判断し、すぐに職場を飛び出しておいて、わたしには合う仕事がないと言われても困る(実は、会社や組織の文句を言い続けながら、いつまで経ってもそこから抜け出せないでいるのは、最もかっこうわるい。石橋泰三が教示するように、何も言わずにその場を立ち去ればいい)。
だれだって、イヤな仕事はしたくないし、抜けてしまいたい会だってあって、もう二度と見たくない顔だってある。でも、そこを乗り越えて、ソリの合わない人とも向かい合わねばならないのが、社会の構成員としての役割なのである。
それができなければ、都合の良いときだけ甘えたり、お願い事をしたり、何かをいっしょにしよう(して欲しい)などと呼びかけてはいけない。そもそも、そんな態度はチョーかっこうわるいし、周りの人は(決して)直接言わないけれど、ちゃんと見ている。

何度でも云う。働く場に最初から天国なんかない。天国にしていくのは自分しかない。その最も身近にあって、最も難しいのは、他者を受け入れることである。

というわけで、がんばってね、平野を囲んでくれた学生さん。応援しています。

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囲む会の会場となったバーでは、元履修生で卒業生も一所懸命、働いておりました。いいね〜。

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窓もない部屋で、講座用の書を準備する。もう、気が遠くなる。

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Sさん、戴いたCHOCO BABYが今朝、暑さで溶けて板チョコになっておりました(汗)


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