内田麟太郎さんの仕事 2010/08/03
過日、「だっことおんぶの専門店 北極しろくま堂」のメールマガジンの取材で、絵詞(えことば)作家の内田麟太郎さんを訪ねた。
そう、子どもなら知らない子はいない『ともだちや』(偕成社)の作者である。ある層には、間違いなくガンダムよりもよく知られた存在である。
その内田さんによれば、絵本作家のスズキ・コージさんは「ぼくの絵本にはテーマなどありまっせん」だし、長新太さんは生前「僕の絵本は難解すぎて、子供にしか理解できないんだ」と云っていたし、かく言う内田さんも確か自著で「テーマに縛られすぎてはいけない」といった趣旨のことを云っておられた(正確な言い回しは、本が研究室にあるので改めます)。
私たちは(と複数形にしてはいけないな。もとい、)わたしはどうしても、なぜ、どうして、理由を申し述べよ、という思考のクセから抜け出せないところがある。だが、一方で、ときとして論理の飛躍をおそれない「デザインの力」というものを信じて疑わない。
・・・・というようなことを、今ある原稿に書いている最中である。
『うそつきのつき』(文溪堂)の裏面にあるバーコードは、主人公の月である髪の毛のすその一部分としてデザインされている。というヒミツを解き明かしてくれた内田麟太郎さん。本のバーコードといえば、ほぼ99%が裏面の左上角と決まっている。これを変更するという交渉ごとは、いくら内田さんといえども並大抵なことではないはずだ。だが、そこさえも軽々と乗り越えていく。そこが内田麟太郎という人のすごいところなのだ。内田さんはカッコイー!!
● このときの取材の内容は北極しろくま堂のサイト メールマガジンvol.67,68
http://www.babywearing.jp/mailmag/
●以前にも「脳内探訪」で書いた内田さんのこと。平野が最も大事にしていることを書いています。ここもぜひ読んでください。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1221.html
●内田麟太郎さんのサイトは
http://www.max.hi-ho.ne.jp/rintaro/default.htm
内田さんはご自身のサイトの「自己紹介」をこんな一言で締めくくっている。
「田中小実昌さん、深沢七郎さん、木山捷平さん。情けないひとはいいなぁ」
実は、内田さんはこの感覚の人なのである。ここがわかってくると内田作品は、もっと、もっとおもしろくなってくる。
内田麟太郎さんとスズキコージさんの合作は必見。
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