平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

『ニッポンの風景をつくりなおせ』(梅原真著 羽鳥書店)発刊記念「梅原真×原研哉スペシャル対談 2010/07/21」

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羽鳥書店&青山ブックセンター(ABC)共同企画『ニッポンの風景をつくりなおせ』(梅原真著 羽鳥書店)発刊記念「梅原真×原研哉スペシャル対談 梅原デザインはまっすぐだ!」に足を運ぶ。

羽鳥書店の、羽鳥さん、矢吹さん、吉田さん、糸日谷さん(『いける本 いけない本』毎号読んでいますよ)、ありがとうございます。
・羽鳥書店関連の記事 http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1130.html

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案内文には「一次産業にデザインをかけ合わせて〈あたらしい価値〉をつくりだす、 グラフィック・デザイナー梅原真氏の仕事が初めて本になった。今回ABCでは著者の梅原氏と、氏の十年来の友人で ブックデザインに携わった原研哉氏の特別対談を開催する」とある。

著者の梅原真さんと原研哉さんの対談が、これまたリアルで「勉強」になった。そうだ、そうだと頷きっぱなし。そもそも「地面から切り離されたデザイン」なんてあるのか、と考えさせられた。同時に「時代から切り離されたデザイン」のことも気になった。

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梅原真さんのサイン。丸眼鏡に髭。他人とは思えない。

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本書に文章を寄せている原研哉さんにもサインを入れて頂く。

◆順不同で、梅原さん、原さん両者の発言を敢えてごっちゃにしながら、自分用に(自分の解釈もほんのわずか加えながら)キーワードだけをこの場にメモしておく。ここを読んでくださった方には、何のことか解らないというワードもあるでしょう。ご勘弁。でもすべて重要です。

・ あかんやんか! 客をきちんと叱る。(梅原真さんを象ったキャラクター アカンヤンカ・マンの生みの親は、あのイラストレーター大橋歩さん)!
・ 四国にはデパートも化粧品メーカーもない(ご本人談)ので、その事実を受け入れるところから仕事をはじめるしかない。
・ 工事現場の囲いに,自分の写真をゲリラ的に貼り付ける写真家がいた。
・ ある企画を思いついた瞬間、ニュービーズのCMをイメージした。また、「今目の前にある展示」には風が足りないと直感した。
・ 「わたしたちのまちには美術館がありません。美しい砂浜が美術館です」が昇華して、「ひらひらします」になった。
・ スケールの違和感。
・高知県は面積の84%が森林 何もないことが武器→森林を管理する市役所の部署名を 84(はちよん)課に、タクシーに乗って84といえば200円割引、8月4日は84の日で・・・などアイデアが爆裂。
・ 漂流物展
・ 「漁師が釣って、漁師が焼いた」というキャッチフレーズには、その二つ「漁師が釣って」と「漁師が焼いた」の間に、「漁師という魚とり名人が選んだ魚」というフレーズが隠れている。
・ 日本列島、世界地図を正確に書けるようにする。すると様々なことが見えてくる。
・ デザインとは確信犯である。
・ デザインの仕事とは、「こうじゃないかと(依頼される前に)提案すること」。発注されてする仕事ばかりしていると枯渇する。
・ 工業製品が売れていたという前提に日本の経済やデザインも動いていた。
・ デザイナーは構想家。
・ 今は一次産業×デザイン
・ デザインはコンセプトじゃない、心意気だ。
・ デザイナーの仕事はスタイルをつくることだと勘違いされてきているが、本来は構想をつくりそれを顕在化すること。 ある意味、理論でもなければ経験でもない、その先のことを見えるようにすること。
・ デザイナーの仕事は「だったりして」を具現化すること。
・ そんな板切れなんか絶対に売れない、と全員反対していたひのきの間伐材の板切れ「四万十のひのき風呂」(200円)が、つくるとすぐに四国銀行、四国電力が使ってくれた。2010年には雑誌『ビーパル』が付録として16万枚買ってくれた。二年間で一億円、トータルで二億円超え。今も売れ続けている。木が売れないなんて思い込んでいてはだめ。
・ そうだ、と思ったことをどんどん現場で使っていく。
・ すぐにヒットが出るとは限らない。長い目で見て、育てる。
・ 提供する側が「自分のスタンス」をきちんと持ち続けていることが大事。
・ 時代という流れの中で立ち上がれなくなったら、(自ら新しい)ルールに変えて立ち上がる。
・ 日本そのものがローカルだという視点で日本のデザインをみる。
・ 東京ローカルデザイン
・ 暮らしのかたち、住まいのかたち。
・ もてなしの力
・ 観光のハートづくり
・ 日本は本来工業国ではなく、観光国ではなかったか。
・梅さんはまれな人。安易に真似をしても梅さんにはなれない。
・ 梅さんの周りには、梅さんを支える風が吹いている。この風の存在をきちんと把握しておくこと。→風の顕在化が大事。


そんな板切れなんか絶対に売れない、と全員反対していたひのきの間伐材の板切れ「四万十のひのき風呂」( ↓ ) 新幹線の中で開封したら、ひのきの香りが辺りに漂いました。すごい。

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◆想像でしかないが、梅原さんのイベントには、環境問題に興味のある方々もある程度のボリュームで集まってきているのではないだろうか。しかし、梅原さんは拳を突き上げて、四万十の環境を守ろう!!!と活動しているわけではない。あくまでも「デザインの力」で、ローカルの潜在能力を引き出しているのだ。その課程で環境のことも考えることになるのだ。結果は同じだが、アプローチがまったく違うのである。


◆今週末7月24日(土)、県民から公募した作文を元に、静岡県はどうしていったらいいんだろうというシンポジウムの司会・進行を担当する。実は、テーマの一つのが、この梅原さんの活動と大きく関係する。会場で梅原さんの活動と著書をご紹介できればと思っている。


※このページに掲載した写真はすべて、帰りの新幹線のシート上で撮影したものです。

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【追記】

というわけで、きちんとご紹介致しました。


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