鉄筆ガリガリ ローラーごろごろ 2010/07/09
先日、ある展覧会でお会いし、お食事の席で偶然隣になったSさんから、この度「謄写版」を譲っていただいた。
ところで、謄写版といってもピンと来なければ、「ガリ版」といえばおわかりいただけるだろう。えっ、今の学生諸君は、ガリ版をご存じない? (後期の授業はこれでプリント刷ろうかな)
Sさんはガリ版刷りのアーティストだ(ご本人がそう名乗っているかは存じ上げない。イラスト・クラフト作家かな?)。
わたしはとにかく、印刷周りや活字の周辺の空気が大好きだ。名刺もわざわざ活版で印刷している。
ところで、ガリ版はだれの発明ですか。はい、その通り。蓄音機でも有名なトーマス・エジソンですね。エジソンは意外なところでいえば、トースターも発明していますし、オカルト研究家としても有名ですね。このおじさんです。
話がいきなり逸れました(汗) で、話を元に戻して、ガリ版。
ガリ版には以前からずっと興味がありました。なんてったって、わたしはバリバリのガリ版世代ですから。
今年の3月(調べてみたら2010.03.02)の毎日新聞の「余録」に『ガリ版文化史』(新宿書房 田村紀雄、志村章子 編著)の記事を見かけたばかりでした。なんとこの本、17年ぶりに重版なのだそうだ。やっぱり平野のような根強いファンがいるのだろう。活版印刷ブームと同じで、若い人たちにも新鮮に映るのでしょう。
小学校の高学年のころには、ガリ版で学級文集を何冊かつくりました。文集係でしたから。勉強はまったくできなかったけれど(ガリ勉になればよかった)、マンガや物語をつくるのがとにかく好きで、印刷室にこもって、鉄筆でカリカリとやっては、ローラーをゴロゴロと転がしていました(あのころは自由奔放でした)。
今回Sさんにガリ版のフルセットを送っていただき、その中の鉄筆を持った瞬間、あのカリカリ感が、まだ身体の中の感覚として残っていることに気づいたのです。インクの匂いも懐かしいです。
↑ 送っていただいた謄写版(ガリ版)のフルセット。
↑ ↓ すべての道具にSさんの細かな注意書きがある。この配慮にまずは唸った。
↓ それから、三枚に渡る手書きの使用書。更にここで唸る。唸る。
↑ さあ、試しに一度刷ってみましょう、と導く刷り見本。Sさんが鉄筆で書いてくださった原稿まで付いている親切さ。唸る、唸る、唸る、唸る。
↑ 紙によってこんなに刷り上がりが違うんです、と目に見えるカタチで教えてくれる五種類の刷り見本。唸る、唸る、唸る、唸る、唸る、唸る。
↑ そのSさんの作品でもある通信『KAZE NO TAYORI』
実は昨年、わたしはこの通信をある方から見せてもらっていた。そのとき以来の再会である。やっぱり会えたか。
そのときの感動は、先日Sさんにもお伝えした。
神保町で行われた『本の街のガリ版展』の様子を詳細にレポートしたガリ版冊子。泣ける。
まことに美しい仕上がりである。
平野は今、試し刷りのあとの初刷りを、何にしようか思案中である。
う〜ん・・・
ガリ切り三年 刷り八年 ですね(汗)
Sさん、本当にありがとうございます。
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