驚くべき論文 2010/06/17
ワトソンとクリックが、1953年に発表した医学史上最も重要な論文のひとつと言われている「DNAの二重らせん構造」に関する論文はわずか900語、1ページである。下のサイトを見て欲しい。化学式などは一切なく、二重らせん構造を模式的示す線画が一枚添えられているだけだ。
Watson, J.D. & Crick, F.H.C., "Molecular structure of Nucleic Acids: A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid', Nature 171, 737-738 (1953).
http://www.nature.com/nature/dna50/watsoncrick.pdf
先日わたしも検査をした際に使用されたMRI(磁気共鳴画像法)の原理は、1973年にポール・ローターバーPaul Christian Lauterburの「勾配磁場法」という論文によって、そのヒントが発表された。これもわずか1ページ半 800語で書かれている。しかも物理学の論文なのに数式は一つもない。もっぱら理論の論述である。社会科学系の論文がしばしば本一冊分のボリュームになることは、わたしも目撃して知っているが、この二つの論文は拍子抜けするほど「薄い」。
・ 参考文献
「医学を変革したさりげない大論文」百島祐貴 平凡社『月刊百科』(2010.4 No.570)
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