第一回 国民読書年 連続講座「書物」 2010/06/05
過日、閉店間近の書店で真夜中まで話し込んだ連続講座『書物』が、いよいよ本格的に始まります。
第一回の講師は、佐久間美紀子さん。演題は「禁書と焚書と表現の自由 〜読者の現在」。
プログラムから講師の人選まで、ほとんどすべてを目利きのあやめさんこと鈴木大治さんが仕切ってくれています。
なお、第0回プレビューはスタッフの手弁当で参加費無料でしたが、今回から有料になったのは、みなさんからお預かりする参加費を講師謝礼(プラス交通費)、並びに会場費に充てるためです。おいしい珈琲も付きますので、ご理解下さい。
佐久間さんから詳しい説明があると思われるが、参考記事をアップしておく。
【ボーイズラブ雑誌、R18に 大阪府が「有害図書」指定Asahi com.2010年4月27日7時34分】
大阪府は26日、少年同士の恋愛を題材にした「ボーイズラブ(BL)」を扱った漫画が掲載された8雑誌を「有害図書」に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止することを決めた。一般図書と区分した陳列も義務づける。
BLは主に女性読者らの人気を集め、近年、専門の棚を設ける書店もある。府は書店の売り場などを調査し、少年少女の手に取りやすい場所にあることなどを確認したという。学識経験者らでつくる府青少年健全育成審議会が取り扱いを協議していた。
府青少年健全育成条例では、漫画雑誌について「性行為などを掲載するページ数が総ページ数の10分の1、または10ページ以上を占める」ものなどを有害図書に指定している。BLは同性愛という性的少数派を扱っており、「誰もが性的感情を刺激されるものではない」などの理由でこれまで対象外だった。
有害図書をめぐっては、東京都で、18歳未満と判断される登場人物の性描写を掲載した漫画やアニメを規制する条例改正案が3月、継続審議になった。大阪府の橋下徹知事はこの種の漫画などについても「規制する必要性があるか実態を把握する」と話している。
【都の漫画規制条例、改正見送りへ 読売新聞2010年5月29日03時01分】
18歳未満の露骨な性描写のある漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都の青少年健全育成条例の改正案について、都議会民主党は28日、6月都議会の採決で反対する方針を決めた。
野党各党も同調する意向で、反対派が都議会の過半数に達する。これを受けて、「表現の自由を侵害する」などとして論議を呼んだ条例の改正は見送られる見通し。
民主は同日、野党の生活者ネットワーク・みらいと、改正案の撤回を求める要望書を都側に提出したが、都は「現時点で撤回する考えはない」と回答。
石原慎太郎知事も同日の定例記者会見で「議会で修正すればいい」と撤回には消極的な考えを示した。
同改正案は3月の都議会で「議論が不十分」として継続審議となっていた。出版業界などから激しい反対が出ていたが、PTA団体などからは「児童ポルノと同様、規制は当然」と強い賛同の声もあった。否決された場合、都側は条文を修正したうえで、秋以降の都議会に再提案を検討する。
【漫画性描写規制 仕切り直して論議を 東京新聞2010年6月4日】
どぎつい子どもの性描写がある漫画などの販売を規制する東京都青少年健全育成条例改正案をめぐり、都議会での賛否が割れている。「表現の自由」を守りつつ規制できるよう知恵を絞り直せ。
子ども相手の強姦(ごうかん)や近親相姦といった性的な暴力や虐待が、社会的に許されるかのように描いた漫画やアニメ、ゲームソフトは子どもの目に触れないよう遠ざけておきたい。そんな親心をくんだのが都側の改正案だ。
過激な性描写の悪影響から子どもを守りたいのは市民共通の思いだが、最大限尊重されるべき表現の自由が侵されかねない方法では理解は得られまい。「創作活動を萎縮(いしゅく)させる」と漫画家や出版業界が反発するのもうなずける。
改正案の趣旨はこうだ。服装や所持品、学年、背景などから十八歳未満と分かるキャラクターの性行為を「みだりに性的対象として肯定的に描写し、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害する」作品は、成人コーナーに並べて子どもに販売しないよう事業者に自主規制を求める。
さらに「強姦など著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写した」作品が一般の書棚に並んでいれば、都は「不健全図書」に指定して成人コーナーに移動させ、子どもへの販売を禁じるという。
異論が噴出したのは、読み手の主観に左右されがちな性描写そのものをベースに販売規制の網を掛けようとする仕組みだからだ。
登場人物の年齢をどう見分けるのか。容姿やせりふ、場面はどのようにでも描くことができる。作品を読んだ未熟な子どもが行為をまねたり、性意識がゆがめられたりする恐れがあると都側は強調するが、その科学的根拠はない。
「みだりに」「肯定的に」「健全な判断能力」「著しく社会規範に反する」など条文にはあいまいな文言が目立ち、恣意(しい)的な運用も懸念される。
都側はそんな表現規制を安易に持ち出す前に、既に定着している不健全図書指定制度で対応すれば足りよう。子どもの性的感情を刺激したり、残虐性を助長したり、自殺や犯罪を誘発する作品はとうに規制対象なのだから。
ただ、漫画家や出版業界も表現の自由を享受するためにこそ、商業主義を排して都側と議論を深めてほしい。身の回りにあふれる性描写について、大人が学校や家庭、地域で子どもとコミュニケーションを図り、耐性を養う環境づくりも大切だろう。