平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

ちいさいおうち   2010/05/22

br1

バージニア・リー・バートンの名作『ちいさいおうち』の1954年(昭和29年)版と1981年(昭和56年)版をざくっくりと比較してみたい。以下、左が旧版 右が改版。


まず大きく変わったのは、表紙の開き。
1954年版の旧版(写真左)は右開き
1981年版の改版(写真右)は左開き

その他、表紙における細かな表記やレイアウトの変更がある。
もちろん表紙の素材も変わっている。

br2

いちばん変わったのは、開きを変えたために、改版では旧版の絵をそっくり反転して使用している(というか、改版は原本に忠実。原本の洋書は左開きのため新版に同じ)。

br3

扉では作者のバートンの文字が旧版ではひらがな、改版ではカタカナ表記
改版には訳者、石井桃子の名の表記が加わる。

br4

改版には、旧版にはないリースの扉絵が入る。
文中の絵はすべて旧版を反転して使用(くどいようだが、改版は原本に忠実)。
また英文の奥付が入る。

br5

旧版は縦書き
改版は横書き

br6

改版は、旧版を反転して使っているために、よーく絵を観察してみると、旧版と改版では家のドアノブが逆の位置についている(写真 センターより左が旧版 右が改版)。

br11

旧版では、「trucking」の文字が逆転している。

br10

旧版には最後に小さなお花が一様付いていたが、改版ではカットされている。
改版では、余韻がなくなったとも言える。

br7

br8

改版では日本語の奥付が裏表紙に来た。



テキスト(翻訳)も、版でいろいろと変わっています。いずれまた。

ds

実は、講談社ディズニー絵本19『小さな家』ウォルト・ディズニー=え、久米元一=文 1961年10月がある。
なお、ディズニー版は、装丁を変えて3種類出ているところまでは確認済み。


この場にアップした内容は、その後、数日間は激しくペンを入れる場合があります。

バックナンバーはここ↓から。「表示件数」を「100件」に選択すると見やすくなります。

現在地:トップページ脳内探訪(ダイアリー)

サイトマップ