平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

リピーターという態度  2010/05/21

kasa


◆ テレビの取材で、ある施設がこんな不況下でもなぜ毎年数字をのばし続けているのかという分析を求められる。

逆に聞こえるかもしれないけれど、一部の人たちは「真のサービスは、お金では買えないということを、自分の経験を通してよく知っている」から結果として大枚をはたくのである。そのサービスに対して、客はリピーターとなることでしか「あなた(のサービス)が好きです」という態度を表せないからである。実はこのリピーターを端から見ると、大枚はたいて施設を利用しているリッチな人、としか見えないのである。
例えば、高級ホテルの真のサービス(個人経営のお店だって結局は同じだけれど)とは、サービスを受けていることすら感じず、あとになって、あ〜っ、あのときのね(しみじみ)。またお礼を言いに顔を見に行かなくては、と思わせてしまう心遣いのことである。だから客は何度も足を運んでしまうのである。自腹を切ってそのサービスを提供してくれた人に再会したいのである。





◆ 学生と進行中のプロジェクトの打ち合わせ。これまでさんざん議論してきたので、もう学生を信じて任せることにする。もはや、年寄りが云々言う段階ではない。この議論の課程にこそプロジェクトのほとんどすべてがある。
その打ち合わせの続きで、学生から音楽の講義を受ける。わたしの何百倍もの音楽を聴いている。話し出したら止まらない。生き生きしている。自分の言葉でちゃんと話している。あっという間の二時間半。






◆ 仕事は断ってくる、MLでは発言しない、メールの返事は遅い、そんな態度で「脳内探訪」など書いているな〜、とお叱りを受けそうですが、わたしは睡眠よりも、この場に何某かの埋め草を書き続けることを優先しています。人からみればどうでもいい内容ですが、わたしにとって書くという行為そのものが箱庭療法のようなもので、それは混沌とした自分の世界を少しでも秩序立てたものにしていくための手段なのです。

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