相手の陣地で 相手の言葉で 2010/05/17
その昔、ソニーが家庭用ビデオを開発して米国で販売したところ、ハリウッドから訴訟を起こされた。著作権に抵触するというのだ。
ソニーは一審で勝訴、二審では一転敗訴。社運をかけたソニーは、最高裁へ上告する。
しかし、状況は明るくない。なぜならば、相手はハリウッド。しかも通例では、最高裁で判決が覆ることはまずない。そこでソニーは何をしたか。盛田昭夫が直々に法廷に出廷して、つたない英語を駆使し、自分たちの仕事がいかに米国人にとって重要かを切々と説いたのである。
結果はソニーが最高裁で勝利を勝ち取ることとなった。
このことは、自分の考えていることを(本気で)わかってもらいたいなら、こちらから相手の陣地に直接出向き、相手の言葉(相手の持ち出したロジック・法律・法規)で語ることが重要である、ということを教える。
最近は、相手にこちらの思いをまっすぐ届けることをしないで、まず広く大衆(を味方に付けたいのだろう)に向けてブログを書く。相手のことをいくらブログで批判しても、決して相手は胸を開かない。それどころから溝は深まるばかりである。ソニーが件の問題をブログを使って、まず大衆を味方に付けたつもりになって、ハリウッドにクレームを付けていたら・・・。まずそんなことをする可能性はゼロであるが。
◆ 有度サロン2010『人間が育つ〈文化〉』の再生に向けて』を聴く。
[司会]伊藤裕夫
(富山大学芸術文化学部教授・文化政策)、苅部直
(東京大学教授・日本政治思想史)、鈴木寛
(参議院議員・文部科学副大臣)
「<国民>をつくることを使命としてきた近代の教育は、いま、グローバリゼーションの嵐の中で大きく揺らいでいる。国民に代わる人間の社会的有り様のベースとなるコミュニティの再生を<文化政策>という観点から検討し、これからの教育のあるべき姿を、文化を軸とする<私塾>の展望を通して考える。」
大変興味のある話題である。そのうちノートに書き留めたことをどこかに記しておきたい。
◆この人たちが、大学の授業を本気になって手伝ってくれたらとんでもないことになるだろう。何度も言うけれど、ライブラリアン(図書館司書)の能力はすばらしい。何かあったら、わたしはこの人たちに助けを求めることにしている。
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