建穂寺の仏像展 2010/04/14
みんなが伊藤若冲に列をなしているころ、わたしは一見地味だが、「建穂寺の仏像展」をたっぷりと楽しませて頂いた。
小学生のわたしは、いつもこの小さな社の前を鉄腕アトムの歌を歌いながら登下校していた。
その名は「建穂寺」(たきょうじ =神仏習合の典型である)。写真は、2010.04.13現在。
少なくとも昭和四十年代のはじめまでは、それは大変に荒れ果てていて、ほとんど何も管理されていなかったように記憶している。事実、仁王像の目玉が盗まれたとか、大掃除のときに仏像がなくなっていたことが判明したとか、そんなとんでもない話が小学生のわたしの耳にも届いていた。
その後、紆余曲折あり、2008年度の京都国立博物館の調査によって、ここに安置されていた仏像は平安時代から鎌倉、そうして桃山時代の貴重な仏像であることがわかった。中でも代表的な仏像、千手観音菩薩は行基作だと言われている。
今回の展覧会の良さは、その展示品が13点(仏像10体+和本一冊+仏像パネル2点)という「少なさ」にある。この数が、一つ一つの仏像ときちんと向き合う場を提供してくれている。
わたしは鎌倉時代の高さ50センチを超える「阿弥陀如来立像」(羽鳥町内会所蔵)に30分ぐらい釘付けとなった。それはまるで山越えの仏の像である。立像を納めた社の造りもいい。足下の松、鳥居の出来、扉の留め金の造りもすばらしい。だがその社についての解説が何もなかったのが残念である。
図録がカラーであったらもっとよかった(なんと図録は一冊150円/28ページ)。
以下画像は現在の建穂寺とそこに安置されている仏像など。
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