平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

遅刻  2007/07/21

tenmondai

 会議に必ず遅れてくる人物がいる。しかも10分とか20分。わずかである。息を切らせて入ってくる。10分、20分遅れてくるなら欠席しろ、とわたしは云いたい。いつも同じ人だ。これは本人のクセである。時間管理がなっていない。前の打合せか、デスクワークの席を立つタイミング悪い、どうせそんな程度の理由だろう。毎回そうなのだから。
 なぜ会議に遅れてはいけないか。その冒頭はアイドリングの時間帯である。前回までの確認事項や今日決めなければならいことを確認しあう時間だ。そもそも「打合せと」は、雅楽の「打ち合わせる」から来ている。すなわち互いの調子、体調、気分などのすべてをチューニングすることだ。その場に立ち会わないというのは、そのあとの時間を共有できないことだ。事実、遅れることによって、そこまで話したことをもう一度全部まとめて話さなければならない。おかげで、会議のリズムが乱れる。またはその人が到着するまで全員が待つ。ほんとうに時間の無駄だ。なぜ遅れてくる人のために貴重な時間を浪費しなければならないのか。
 あるカメラマンと待ち合わせをすると、お互い30分前には必ず到着している。これは気持ちがいい。カメラマンがなぜ時間に厳密かというと、5分遅れたら日の出が撮れないとか、工場の機械が稼働してしまって取り返しがつかないとか、タレントがホテルから出てしまうとか、そういったリスクが伴うからだ。だからこそ時間には慎重になる。
 原稿をプリントアウトする間、ただ、ボ〜っとしている社員を叱るトップがいた。なるほど、気持ちがよく分かる。
 きっとこう書くと、そんなにあくせく働いて余裕のない人ね!とか、もっと人間らしく生きましょうよ!という人が必ず出てくる。そう発言する人は、わたしの云いたいことをまったく理解していない。


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