その先のデザイン 〜もっとも基本的なデザインの話 2007/07/21
理想のデザインの在り方についてよく考える。それはここ十年来、変わらぬテーマになっている。とくに身近なものに対するリ・デザインに興味が激しく動く。
横断歩道のデザイン、信号機のデザイン、ポストのデザイン、傘立てのデザイン、歯ブラシのデザイン、スイッチ類のデザイン・・・当たり前になっている形にこそ踏み込む余地があり、そのちょっとの変更こそが、経済も行動様式も大きく変えてしまうチャンスにあふれている。
そのときに重要な視点が、「行動の途中にあるデザイン」だ。例えば、我々は椅子にどう座るか。座ったあとに手をどこに持っていくか。座り直すという行為はいつどういったタイミングでおきるのか。そもそも椅子だけが椅子ではないはずだ。何を椅子と見立てるか。切り株、バケツ、岩、何でも椅子になる。そう考えると、なにもバケツ型の筒だけが傘立てではない。例えば写真のように、ちょっと窪みを仕掛けておくだけで、人はそれを傘立てに使う。
こういった人の行動パターン(クセのようなもの)をちょっとだけ先回りしてデザインとして仕掛けておくのだ。自然なふるまい、行動パターンを読むことがポイントだ。わたしはそれを「先回りのデザイン」とよぶ。そこには、人をその先へと導くデザインが必要なのだ。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/167.html
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