平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

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『安倍七騎』自費出版大賞 〜淺羽克典の仕事  2007/07/19

abeshitikimonaka

 淺羽克典氏の小説『安倍七騎』が目に飛び込んできたのは、たしか昨年末か今年のはじめ、静岡新聞紙上であったようにおもう。その後ご縁があって、氏からご著書を送って頂き、足を組み替えるのも忘れて一気に読破した(ロングフライト血栓症になりそうになりました)。そうこうしているうちに、淺羽氏の「安倍七騎の実像を探る」という講座も開かれ、その淡々とした語りっぷりと、ものを書くというスタンスに、わたし河原印地の平野雅彦は一気に氏のファンになっていった。

 この小説は、静岡市の安倍川流域に伝わる落人伝説がモチーフで、今川氏や武田氏に仕えたもののふたちの話だ(『駿河国新風土記』『静岡県史』などにもその記述がある)。詳細は、本書『安倍七騎』に譲るが(と、いっても、ただいま自費出版増刷待ち。ぜひ静岡新聞出版局に、自社本として発売して頂きたい。そうして安定的に読めるようお願いしたい)、この物語の成功は、元来氏が持ち合わせていた筆の力に加え、膨大な資料の後ろ盾と現場に幾度となく足を運んだ成果にある。地元の歴史家は細部をあげつらうのではなく、この姿勢や態度と空白域を埋める想像力にこそ学ぶべきだとわたしは強く云いたい。
 なおこの『安倍七騎』は、今年度の静岡新聞社自費出版大賞に選ばれたという嬉しいニュースも届いた。さすが、元ボクサー。   


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