新書とは 〜岩田靖夫の仕事 2009/12/15
これまで岩田靖夫という哲学者の著作を何冊か読んできた。その岩田の『いま哲学とはなにか』(岩波新書)を読み始めたら、いきなりそのまえがきで衝撃的な一文に出会った。それは岩田がこの薄い新書を書き上げる姿勢を吐露した一文である。
(※まずは著者自身がいくつかのテーマを設定して)「これらのすべての問いに対して、筆者は哲学者として、現有のすべての力を投入した」
今、書店の新書の棚は、陣取り合戦のために有象無象のタイトルがひしめきあっている。だが本来、新書というのは、その道の研究者がそれまでの研究成果の上澄み液を、わたしのような素人にも解るようにそっと掬って差し出してくれるようなものだと思っている。それを、素人の思いつきで書いた書物がぞろぞろと雁首を揃えていていいはずがない。
何でも明日は、(中身なんかどーでもよくて)書籍のタイトルだけに賞を与える「イベント」が行われるらしい。タイトルが大事なのはもちろんわかるが・・・。当たり前のことだが、そこだけに力が注がれていく傾向に警鐘を鳴らしておきたい。
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◆早朝、講座のロケハン
本番は、逢魔ヶ時、それは不思議な「声」から始まることになるだろう。
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